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Vol.

歌舞伎四百年

~歌舞伎400年~出雲の阿国から野郎歌舞伎まで

今年は江戸幕府開府400年の年です。
それとともに歌舞伎も400年の歴史が経ちました。
柏屋HP管理人の一人である私。私ごとながら、歌舞伎が大好き!好きがこうじて、観劇もさることながら、歌舞伎の歴史も知りたくなってしまいました。
8月の歌舞伎座。ご覧になりましたか?
野田秀樹版、中村勘九郎丈扮する「鼠小僧」です。
☆初演で初日のチケットを手にした私は、もうわくわくどきどき!

大入り満員の劇場も何だか熱気がある。
古典もやっているこの歌舞伎座でまさに新演出の緩急巧みな歌舞伎!
役者も観客も一体となって芝居の中に引き込まれいく…。
いつの時代にも通じる人間の笑いと悲しみのドラマへ…。
花道も回り舞台も、セリもすっぽんも使われる。
時には客席も舞台になる。
もちろん、下座音楽だってついている。
ミエもきる。
つけもつく。
大向こうの声もかかる。
古いものも新しいものも一体となる…。
大歓声に応えるカーテンコール。
歌舞伎は進化する!

とつくづく感じたのでした。
そんなわけで、こんなに興奮する歌舞伎の起源は、歴史は?と思い、今回は、歌舞伎発祥の阿国歌舞伎から、現在の歌舞伎にも通じるドラマ性をもった歌舞伎の原点、野郎歌舞伎までの初期の歴史を調べてみました。

 歌舞伎の起源
歌舞伎の起源は江戸幕府開府の年と同じ1603年慶長8年。女性芸能者、出雲の阿国(左図)が京都四条河原や北野神社で演じた「かぶき踊り」とされている。
「かぶき」とは「傾く(かぶく)」という動詞の名詞化で「かぶき者」と、華美で常識を逸した姿や行動をするいわば流行を先取りする人のことをそう呼んだそうだ。
阿国は男装してかぶき者に扮し、猿若と呼ばれる道化者を連れて、男の役者が演ずる茶屋女と遊び戯れる様子を歌や踊りを交えて「茶屋あそび」を官能的に見せたそうだ。
この頃の伴奏楽器は能楽で使う四拍子(笛・小鼓・大鼓・太鼓)の4つの楽器のみで、まだ三味線は使われていなかった。


 女歌舞伎・若衆歌舞伎
  
1615年慶長末年頃には阿国に続き、女性芸能者や少年たちによる踊りの一座が次々と生まれた。
四条河原がその中心となり、大勢の遊女たちが遊郭から出張して興行した「遊女歌舞伎」(上図)なども流行り、和尚と呼ばれるトップスターを中心に、新渡来の楽器、三味線を使い華やかな群舞によるショーが行われたそうだ。
こうした女歌舞伎は地方都市にも生まれたがやがて1629年寛永6年、幕府は風紀が乱れるとの理由で女歌舞伎を全面的に禁止した。
かわって、前髪をつけた美少年による「若衆歌舞伎」(下図)がクローズアップされてきたが、これも同じ理由で1652年承応元年に禁止された。



 野郎歌舞伎
1653年承応2年若衆歌舞伎禁止の翌年。
若衆のチャームポイントである前髪を剃って野郎頭になり、「物真似狂言尽くし」のドラマ性の高い芸能を演ずることを条件に再び興行を許された歌舞伎を野郎歌舞伎といわれた。
かつての美少年スターはドラマの中で女性の役を演じる女方芸の確立に努め、立ち役 (男役)の中にもキャラクターの分化が始まった。
興行の花として総踊りも最後に演じられたそうだが、やがて狂言(多幕物)が生まれ、歌舞伎はストーリー性のある演劇として成長していった。
私が観た野田版歌舞伎は、阿国が流行の最先端をいき、「かぶく」精神をもって、舞踊や音楽で表現した元祖「かぶき」に通じるものがあるように感じました。

舞台はやはり、わくわくどきどき、ぞくぞく?するものだからこそ楽しめるのではないでしょうか。



参考資料
共同通信社発行(2003年) 歌舞伎400年展図録
「阿国歌舞伎図屏風」 松竹大谷図書館所蔵
「四条河原遊楽図屏風」 静嘉堂文庫美術館所蔵
「若衆歌舞伎図」出光美術館所蔵